同じ屋根の下で育ったとは思えないほど、わが家の3きょうだいの個性はバラバラだ。
長男は警察官に怒鳴り、長女のカバンからは太宰治が出てきて、次男のテーマは一貫して「モテること」。
毎日頭を抱えながら、でも気づいたら笑っている。
先天性心疾患を抱えながら、計8回の入院を経て子育てしてきた私が、「三者三様の修行」の記録を書く。
「動」の長男|警察をも恐れぬ、規格外の馬力
先日、大雨の中を家族で車に乗っていたときのこと。
近所にパトカーや警察のバイクが停まっていて道が塞がれていた。するとあろうことか、助手席の長男が窓を開けて警察官に向かってこう叫んだ。
「邪魔だよ!どけよ!」
真面目に公務員として生きてきた私と夫は、ただただ唖然とするばかりだった。
でも同じ彼が、パソコンが使えない友達のために高校受験の申し込みをすべて代行してあげるような子でもある。損得抜きの正義感と行動力。相手が誰であれ、目の前の壁をぶち破ろうとするエネルギーは、暴走するスポーツカーのエンジンのようだ。
「静」の長女|カバンに忍ばせた、深い洞察
そんな嵐のような兄の横で、中3の長女のカバンからは太宰治の『斜陽』、東野圭吾の『ラプラスの魔女』、さらには『義経』までが転がり出てくる。
彼女は今、自分のADHD気質を冷静に自覚し始めている。
「自由すぎると自分がダメになるから」
あえて規律のある仕事の道を志そうとするその言葉は、中学生とは思えないほど達観している。
幼稚園の頃、「正直、面倒だな……」と思いながら毎週続けていた読み聞かせ。元図書館員の夫の協力もあった。あのとき積み上げた言葉たちが、今の彼女が自分を律するための「知性という盾」になっている。
あの面倒だった時間が、愛おしくてたまらない。
「愛」の次男|テーマは一貫して「モテること」
末っ子の次男の人生のテーマは、保育園の頃から一貫して「モテること」だ。
新品の自転車を誰にでも貸して失くしてしまうほどのお人好し。でもそれは、愛されたい・喜ばせたいという純粋な善意の表れだ。
トゲトゲした空気を一瞬で和ませる、わが家の「愛され担当」である。
修行の答え合わせ
計8回の入院を経験しながら、必死に駆け抜けてきた子育て。
「ちゃんと育てられているのか」と自問することは今もある。
でも気づいた。
警察に物怖じしない強さも、太宰を読む深さも、誰にでも優しくできる無垢さも、全部この子たちが自分で育ててきた「命の形」だ。
警察への怒鳴り声に頭を抱え、カバンの中の名作に感心し、次男のモテ理論に脱力する。
この賑やかすぎる毎日こそが、私の人生の最高傑作なのかもしれない。
先天性心疾患を抱えながら3人を育ててきた記録は、他の記事でも書いています。よかったら読んでみてください。

