人工弁を入れたら障害者手帳・障害年金はどうなる?私のリアルな話

先天性心疾患の記録

手術の前、私はずっと不安だった。

「人工弁を入れたら、制度はどうなるんだろう」
「障害者手帳って、どんな等級になるの?」
「障害年金ってもらえるの?」

調べても難しい言葉ばかりで、当事者がどうだったかを書いている記事がなかった。

これは、手術の前の私が知りたかった話だ。

ファロー四徴症を抱え、人工弁置換術を経験した私が、制度のことをできるだけわかりやすく書く。
お金の話なので正確に。でも、難しくなりすぎないように。

障害者手帳は「1級」に。しかも永久認定

人工弁を入れると、身体障害者手帳の1級になる。

これは法律で決まっていることで、どんな人でも同じだ。
人工弁置換術を受けた=1級。それだけでいい。

そして大事なことがある。永久認定だ。

障害者手帳は、状態が変わる可能性がある場合は「再認定」といって、数年ごとに見直しがある。
でも人工弁は体に入れたら外すことがない。状態が変わらないから、再認定がない。
一度取得したら、ずっとそのままでいい。

私は手術後に手帳を取得して、それ以来、更新の手続きを一度もしていない。

「重度障害者」という言葉に、最初は戸惑いを感じた。
普通に働いているし、見た目では全くわからない。

でも制度上そうなっている。
だったら使い倒せばいい。


1級で受けられる恩恵、具体的に全部書く

手帳1級で受けられる優遇は、思ったより多い。

交通費

交通機関割引内容
新幹線運賃・料金が約6割に(収入関係なし)
バス半額

新幹線の割引は、収入があってもなくても同じ
私はフルタイムで働いているが、ちゃんと適用されている。

レジャー・施設

最近は障害者割引を導入する施設が増えている。

  • USJ
  • ディズニーランド・ディズニーシー
  • 美術館・博物館

施設によって内容は違うが、本人と介護者1名が無料・割引になるケースが多い。
行く前に確認してみてほしい。

税金控除(これが一番大きい)

身体障害者手帳1・2級は「特別障害者」という区分になる。

特別障害者には、毎年こんな控除がある。

税金の種類控除額
所得税40万円の控除
住民税30万円の控除

「控除」というのは、課税される所得から差し引ける金額のこと。
つまり、税金の計算のもとになる金額が減る。

収入が高い人ほど、この控除の恩恵は大きい。

私はフルタイムの教員として働いているので、この控除は毎年かなりの節税になっている。


障害年金は「3級」——手帳と年金は管轄が違う

ここで「えっ?」となる人が多い。

手帳は1級なのに、障害年金は3級なのだ。

「おかしくない?」と思うかもしれないが、これは制度の仕組みが違うから。

  • 障害者手帳 → 身体の障害の程度で決まる(福祉制度)
  • 障害年金 → 生活・労働への影響で決まる(年金制度)

人工弁を入れている=3級、と決まっている。
働いていても、収入が高くても、関係ない。人工弁があれば3級になる。

申請方法について

申請は自分でもできるが、制度が複雑で書類も多い。

私は共済組合(公務員の年金窓口)を通して手続きをした。
たまたま親身になってくれる担当の方に当たって、書類の作成から提出までサポートしてもらえた。

社会保険労務士(社労士)に依頼する方法もある。
費用はかかるが、手続きをすべて代行してもらえるので、体調が悪い時期には頼る価値がある。


実際にもらえる金額と、税金のこと

受給額の目安

障害厚生年金3級の場合、年間約58〜60万円前後が受給できる(収入・加入期間によって異なる)。

月に換算すると、約5万円

働きながらもらえる。収入が多くても減額されない。
これは人工弁の特例で、就労の有無・収入に関わらず受給できると決まっている。

障害年金は「非課税」

障害年金は税金がかからない
確定申告や年末調整で申告する必要もない。

老齢年金(65歳からの一般的な年金)は課税対象だが、障害年金は違う。
これも大きなメリットだ。


65歳になったらどうなるの?

「65歳になったら障害年金はなくなるの?」という質問をよく見かける。

なくなるのではなく、「選ぶ」ことになる。

65歳になると老齢年金(一般的な年金)ももらえるようになる。
公的年金は「1人1年金」が原則で、2つ同時にはもらえない。

だから65歳になったとき、

  • 障害年金を続けるか
  • 老齢年金に切り替えるか

を自分で選ぶことになる。

ポイントは「どちらが多いか」だけでなく、「どちらが税金を含めて手取りが多いか」で判断すること。
障害年金は非課税、老齢年金は課税対象という違いがあるからだ。

65歳が近づいたら、年金事務所や共済組合に試算してもらうといい。


まとめ:制度を知るだけで、手取りが変わる

人工弁を入れると、

  • 障害者手帳 1級(永久認定)
  • 障害年金 3級(年間約60万円・非課税)
  • 税金控除 所得税40万・住民税30万

この3つがついてくる。

知らなければ損をする。申請しなければもらえない。
でも知っていれば、体に人工弁を抱えながらでも、経済的に安定した生活が送れる。

私はこの制度を使い倒している。
おかげで、同年代の公務員の中でも手取りはかなり多い方だと思っている。

病気だから不利、ではなく。
病気だからこそ使える制度がある。

それを知ってほしくて、この記事を書いた。


⚠️ この記事は私の体験をもとにしたものです。制度の内容は年度や状況によって変わることがあります。詳細は共済組合・年金事務所・社会保険労務士にご確認ください。


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