大学生活のほとんどを、
「先生になりたい」という思いで過ごしてきた。
片道3時間の通学も、
体調の波も、
全部その未来につながっていると信じていた。
それなのに――。
採用試験の話が現実味を帯びてきたころ、父に言われた。
「教員の試験は一回しかない。落ちたらどうするんだ?」
一般企業で働いてきた父にとって、
“保険をかけない進路”は理解しがたいものだったのだと思う。
「他にも受けられる就職試験があるだろう?」
私は心の中でつぶやいた。
落ちたら、そのとき考えるよ。
でも、その言葉は飲み込んだ。
父の圧に押される形で、
大学三年の終わりから就職活動を始めた。
一度も足を踏み入れたことのない大学の就職支援課。
めくってもめくっても、しっくりこない求人票。
三年の終わりからの就活なんて、
正直、遅い。苦笑
四年生の春。
大学構内をとぼとぼ歩いていた私に、声が飛んできた。
「何してるの?
教員目指してたんじゃないの?
採用試験、受けようよ!」
教員志望の友達だった。
この友達も、なかなか圧が強い。笑
でもその圧が、
私の奥の奥にあった気持ちを揺さぶった。
あれ?
私、先生になりたかったんだよね?
そこから六月の採用試験に向けて、猛勉強が始まった。
三か月間。
一日十時間。
落ちたらどうする?
そんなことは、考えなかった。
いや、正確に言うと――
考えないようにしたのかもしれない。
でも心のどこかで、はっきりと思っていた。
私は、受かる!!!
それは、
根拠のない確信だった。
実力も、余裕も、保証もない。
それでも、
なぜか「大丈夫」と思えていた。
若さなのか、
怖いもの知らずだったのか。
今ならきっと、もっと計算してしまう。
でもあのときの私は、
その根拠のない確信に、まっすぐだった。
もしあの春、
友達が声をかけてくれなかったら。
私は、違う人生を歩いていたかもしれない。
出会いは、人生を動かす。
特に、
自分の本音を思い出させてくれる人との出会いは。
さて、
三か月後の結果は――
つづく。


