人工弁の手術を受けて、生活は確かに変わった。
私はやってよかったと、今なら思う。
手術の前、主治医からは「良くなるかもしれないし、今と変わらないかもしれない」と言われていて、賭けみたいなものだったのに。
完璧に健康になったわけじゃない。
慢性心不全は今もあるし、薬も手放せない。
それでも、やってよかった。そんな話を書く。
人工弁を入れる前、生活はどうだった?
出産3日後に心不全が悪化して、抱っこする体力もなかった
今だから笑って言えるけど、当時はまったく笑えなかった。
3人目を産んだ3日後、心不全の症状がドーンと悪化した。
かわいい我が子が生まれたばかりなのに、抱っこする体力すらない。
横になっている時間ばかりが増えていく。
医師からは「このままじゃ仕事は無理」ときっぱり言われた。
そりゃそうだよな、と今なら思う。
温泉やプールも、しんどすぎて行けなくなっていた。
水に入るのは平気でも、上がった瞬間がもうダメ。
誰か一人を背負って歩いているみたいな疲労感が襲ってくる。
当時通っていた幼稚園は自家用車NGで、送り迎えは自転車と決まっていたんだけど、それすら乗れなくなっていた。
人工弁の手術とリハビリは、実際どんな感じだった?
開胸手術で1か月入院、私は退院後も3か月抱っこを止められた
私の場合、人工弁に置き換える手術は開胸手術で、まず1か月の入院になった。
(8時間に及んだ手術と、そこからの1ヶ月の入院のこと)
退院してからも3か月は重いものNG、車の運転もNG。
生まれたばかりの我が子を抱っこすることすらできなかった。
母乳は体に負担がかかると医師に言われて、さっさとミルクに切り替えて、家族総出で育児にあたってもらうことにした。案外これでうまく回った。
手術1週間後から、歩行と自転車でじわじわ心臓を鍛えた
手術の1週間後には、もうリハビリが始まった。
入院していた病棟の廊下の先にリハビリ室があって、そこで歩かされたり自転車をこがされたり。
「まだ胸が痛いのに、どうして歩いたり自転車を漕いだりしなきゃならないんだろう」
というのが正直な気持ちだった。
心臓のリハビリの先生いわく、少しずつ心臓に負荷をかけていかないと元気になれないらしい。
医師にもすすめられて、渋々……いや、頑張った。
人工弁を入れてから、生活はどう変わった?
私は塩分に注意、お酒は主治医から「飲みすぎなければOK」
退院のとき、主治医から塩分に気をつけるようにと言われた。
お酒は好きなので、恐る恐る聞いてみたら
「飲みすぎなきゃいい」
と言われて、拍子抜けするくらいホッとした。
仕事復帰は1年後
仕事に戻れたのは手術から1年後。
ただ、体が本当に「慣れた」と思えるまでには、5年くらいかかった気がする。長い。
手術後数か月経って、はじめて温泉に行った日のことは今でもよく覚えている。
湯船につかっても、しんどくない。
「え、こんなにちがうのか」ってくらい感動した。
自転車もそう。
相変わらず幼稚園は自家用車NGで、送り迎えには自転車を使うしかなかったんだけど、手術前はしんどすぎて乗れなくなっていたのに、手術から数か月後に久しぶりに乗ってみたら、すいすいこげた。
これにも感動した。
人工弁と生きる今、検診はどうしてる?
私の検診は3か月に一度、24時間いつでもOKの体制
定期検診は3か月に一度。
それとは別に、調子が悪ければ24時間いつでも大学病院に駆け込んでいい。
行くとだいたい、心電図と採血。
それでどれくらい体調が悪いか、だいたいわかる。
専門外だと「肩こり」で片付けられたことも
町のお医者さんにかかっていた時期もあったけど、ファロー四徴症のことをよく知らないと言われることが多くて、結局いつもの大学病院に送り返される、というのがお決まりコースだった。
専門外の先生には、むくみや頭痛を訴えても
「肩こりですね」
と言われたことが二回ある。肩こりの薬まで出されたことも。
今の主治医にかかるようになってからは、そういうことはなくなった。
人工弁と暮らす毎日、何に気をつけている?
睡眠・体重・血圧のチェックと、小休止

私は睡眠不足だと心拍数が上がる感じがして、調子を崩しやすい。
だから、睡眠不足はできるだけ避けている。
体重と血圧は、だいたい毎日測る。
調子が悪くなると、一日で体重が4キロ増えることもあるので、地味に侮れない。
私は疲れたら小休止するようにしている。
それをせずに無理を重ねて、あとからドカンと体調を崩したことが何度かあったから。
だから、無理はしない。それだけ。
最後に
手術の前は、良くなるかどうかもわからなかった。
それでも私は手術を受けて、生活は確かに変わった。
完璧に健康になったわけじゃなくて、慢性心不全も薬も今の私の一部だけど、それでもやってよかったと思っている。
今すでに人工弁と生きている人には「わかる」と思ってもらえたら、これから手術を控えている人には、少しでも心の準備や参考になればうれしい。
よかったら周りの人にもシェアしてください。
もっと詳しく知りたい方は、人工弁を入れてから、障害者手帳と年金がどう変わったか もあわせてどうぞ。

