成人先天性心疾患の私の妊娠・出産と卵管結紮

先天性心疾患の記録

先天性心疾患をもつ私は、1人目のときの出産から普通より注意が必要と言われた。母体に何かあったときのために大学病院での出産。何かってなんだろうってよくわかってなかったけれど、1人、2人……と出産していくうちに薄皮をはぐようにだんだん調子が悪くなっていった。

そして3人目の妊娠。

せっかく授かった命。大切にしたかった。
でも、出産後体調を崩して一人では育てられないこと、自分の命を削るかもしれないことなんて、想像もしていなかった。

心疾患と妊娠、何がリスク?

心臓の負担と、子への遺伝

ここからは私の場合ではなく、一般的な話として書く。

日本循環器学会と日本産科婦人科学会が出しているガイドラインによると、妊娠中は体をめぐる血液の量が普段より4〜5割ほど増え、心臓にかかる負担も大きくなる。産後、体が落ち着くまでには半年ほどかかるとされていて、心疾患を持つ人の産後の心不全は、その約半数が出産後1週間以内に起きるという。(心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン

同じガイドラインでは、ファロー四徴症の術後は、弁の逆流など大きな問題が残っていなければ、比較的リスクは軽いほうに分類されるとされている。ただし、私自身がそのときどの区分にあたると言われたかは、正直はっきり覚えていない。

子への遺伝についても、学会誌には「母親が先天性心疾患を持つ場合、子どもに先天性心疾患が出る確率は2〜18%」という報告がある(先天性心疾患と遺伝子異常)。当時の私は、こうした具体的な数字までは聞いていなかった。それでも「一般より高い」ということは伝わっていたから、スクリーニング検査を受けながら、ただ祈るしかなかった。

3人目の妊娠で「命に関わる」と言われた

「先に言ってよ」と思った

3人目は自然妊娠だった。妊娠に気づいて間もない頃、主治医から「リスクの高い出産になる」、そして「命に関わる」と言われた。正直、最初に思ったのは「それ、妊娠する前に教えといてよ」ということだった。

生まれてくる子にも、先天性心疾患のリスクが高くなることは気になっていた。医師からも言われたし、自分でも調べた気がする。ただ、何%というような、はっきりした数字は言われなかった。妊娠したあと、出産前には、赤ちゃんに異常がないかを調べるスクリーニング検査を受けた。数字がわからないぶん、とにかく強く祈った。

心疾患があると産後が大変

睡眠不足がてきめんに響く

出産後の回復は、人より遅いと感じる。少し無理をして睡眠不足になると、てきめんに体調を崩してしまう。夜中の授乳やおむつ替えのように、睡眠を削られる場面はどうしても出てくる。

私の場合は、家族の助けがないと乗り越えられなかった。一人だけで育てるのは、正直難しいと思う。

3人目を産んだあとは、特にそれがはっきり出た。心不全が悪化して、体調の戻りが悪いまま1年半が過ぎ、結局そのタイミングで人工弁を入れる手術を受けることになった。(人工弁のある生活、当事者が全部書きます)入れたのは生体弁で、手術後1年間だけ、血をさらさらにする薬を飲んでいた。

次の妊娠を防いだ卵管結紮

「4人目はもうやめてね」

3人目を妊娠しているときに、主治医から「4人目はもうやめてね」というような言い方をされた。念を押すというより、当然の流れのような口ぶりだった。私自身も、次の妊娠はもうしないと決めていた。

卵管結紮は、自分から産科の医師にお願いした。3人目が帝王切開だったので、そのタイミングに合わせて、事前にお願いする形になった。こうした「出産と同時に卵管結紮をする」というやり方について、ガイドラインには「産科医と循環器の医師から、事前にきちんと説明と同意を得ておくことが望ましい」と書かれている。私の場合も、この流れに沿って事前にお願いする形になった。(心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン

予定していなかった妊娠をする心配がなくなったことには、正直ほっとした。3人目自体が、予定していなかった妊娠だったから。でも同時に、女としての機能を一つ失うみたいで、少し寂しくもあった。

最後に

同じ病気を持つ人へ

今、あのころを振り返ると、当時の私は「産みたい」という気持ちだけで進んでいた。一人では育てられなくなったこと、心臓に負担がかかって人工弁の手術が必要になったこと——そこまでは、当時の私は想像していなかった。それが、今の私の実感だ。

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もっと詳しく知りたい方は、ファロー四徴症 術後|「右心不全は進行性」 もあわせてどうぞ。